先天性股関節脱臼について
先天性股関節脱臼って何ですか
おむつ替えのとき、赤ちゃんの股(股関節)が片方開きにくい(足がM字にならない)、
そんなときは先天性股関節脱臼を疑います。
脱臼というのは、関節で骨が本来の位置からずれてしまった状態です。
骨がずれていると、当然、関節がスムーズに動かないため、上記のような症状が出現します。
男女比で1:5~9と女の子に多いことが報告されています。
先天性股関節脱臼の原因は何ですか
出生前後に股関節や膝関節が無理に伸びてしまい、周りの筋肉がこわばることで、スムーズな股関節の動きが制限されます。
結果、股関節で骨が収まる"臼蓋"という部分がうまく作られず、股関節がずれてしまうために起こります。
先天性股関節脱臼の症状は
・股関節の開排制限
上に書いた通り、赤ちゃんの足がM字にならず、左右差が出ます。
おむつ替えの時に気づかれることが多いです。
・大腿皮膚溝の左右差
太ももの内側のしわに左右差が出ます。
先天性股関節脱臼の診断は
上記のような症状がある場合は、小児科や乳幼児健診で相談しましょう。
症状が認められる場合は、整形外科を受診し、診察とレントゲン検査で診断します。
先天性股関節脱臼の治療は
・予防方法(生後3か月頃まで)
症状がある方でも、完全に脱臼している方は少なく、早期からの予防が大切です。
M字型開脚での正面抱き(いわゆる“コアラ抱っこ”)をしてみましょう。
横抱きや寝ているときも、自由に脚を動かせるよう、スリングや毛布、衣服で足を伸ばさないようにしましょう。
・整復治療など(生後3か月以降)
予防で改善しない場合は、リーメンビューゲルと呼ばれる装置で股関節を固定する整復治療を行うことが多いです。
先天性股関節脱臼については、日本小児整形外科学会から詳しい資料が公開されています。
こちらもご参照ください。
日本小児整形外科学会HPより
・先天性股関節脱臼予防パンフレット ⇒要点が載っていて見やすい資料です。
・先天性股関節脱臼予防と早期発見の手引き ⇒我々小児科医用の手引きです。
参考文献
小児内科 2018 Vol.50 増刊号
日本小児整形外科学会ホームページ